あんまり知られてないような知られてるような、そんな感じがしたので Robolectric の Shadow の使い道をちょっと紹介します。
robolectric.org
紹介するのは
- static method を呼び出ている
- kotlin の object 宣言がされた singleton を内部で直接使用している
- 内部で new している
などなど、色々な記事で PowerMock の出番とされていそうなケースについてです。
今回はこれを Robolectric の Shadow で解決します。
前提として、私は PowerMock を入れようと思った時、それは設計を見直しをするべき時だと考えています。
とはいえ、古いアプリや大規模なアプリなどでテストは書きたいが static method の呼び出しがネックになっている、直す工数もない。しかし PowerMock は入れたくないというケースは稀ですが存在します。
そんな時、使うべきかは置いておいて Shadow が使えます。
いくつか例を紹介します。
この例は全て GitHub にあります (難読化された感じの雑な命名はあとで直します)
github.com
1 つ目
object AUtil {
fun a() {
throw IllegalArgumentException()
}
@JvmStatic
fun b() {
throw IllegalArgumentException()
}
}
class A {
fun a() {
AUtil.a()
}
fun b() {
AUtil.b()
}
}
1 つ目の例はこれです。
こんなの存在しないと思いますが、テストからアクセスできない何かにアクセスして throw されてる、でもその後の処理がテストしたい...!みたいな、そんな感じで考えてください。
これに対しては、以下のように Shadow を定義できます。
@Implements(AUtil::class)
class ShadowAUtil {
companion object {
@JvmStatic
@Implementation
fun b() {
}
}
@Implementation
fun a() {
}
}
これを使用するとテストを通過させることができます。
@RunWith(AndroidJUnit4::class)
@Config(shadows = [ATest.ShadowAUtil::class])
class ATest {
@Test
fun a() {
A().a()
}
@Test
fun b() {
A().b()
}
...
}
2 つ目
2 つ目は内部で new していて、なんか失敗しているケースです。
Shadow は constructor の呼び出しにも対応しています。
class D(d: String) {
init {
throw IllegalArgumentException()
}
}
以下のような Shadow を定義します
@Implements(D::class)
class ShadowD {
@Implementation
fun __constructor__(d: String) {
}
}
これを使用すると通過します
また、これは変な使い方として、
class B(private val b: String)
このようなクラスを Java 側から使用するとして
public class C {
public void c() {
new B(null);
}
}
null を入れてしまうと当たり前ですが java.lang.IllegalArgumentException: Parameter specified as non-null is null ... が発生します
が、以下のような Shadow を定義すると回避できます。
@Implements(B::class)
class ShadowB {
@Implementation
fun __constructor__(b: String?) {
}
}
使い所はありません。
3 つ目
実際に呼び出されたかどうか知りたい時、引数を assert したいときなど。ここまで来たら PowerMock 使えばという話なんですが、可能です。
@Implements(AUtil::class)
class ShadowAUtil {
var isPassed = false
@Implementation
fun a() {
isPassed = true
}
}
とりあえずこんな感じで定義しました。
Robolectric は object に対応する Shadow を受け取ることができます。
@Test
@Config(shadows = [ShadowAUtil::class])
fun a() {
val util = Shadow.extract<ShadowAUtil>(AUtil)
assert(!util.isPassed)
A().a()
assert(util.isPassed)
}
便利です。
Shadow は多くの場面で活躍しますが、一方で何をしているのかが慣れるまで分かりづらいという欠点がありますので、用法用量を守って使用すると良さそうです。